生まれた命に寄り添う


生まれてから産婦人科を退院するまで
── 新生児科について教えてください。
早産の赤ちゃんや何らかの病気を持って生まれた赤ちゃんの治療をするのが新生児科です。入院の対象となるのは、生まれてから産婦人科を退院するまでのお子さんです。
千葉市立海浜病院の近年の傾向としては、以前に比べて外国人、中でも東南アジア国籍の入院者数が増えていることが挙げられます。障壁となるのはやはり言語の問題で、特にご両親とも外国人の場合は意思疎通がスムーズに進まないことが危惧されます。
その際はスマートフォンに搭載された翻訳アプリを活用するなど、現場で臨機応変に対応しています。
他診療科とのスムーズな連携
── 千葉市立海浜病院の特徴について教えてください。
千葉市立海浜病院の新生児科のベッド数はNICU(重症児の治療室)21床、GCU(回復した児の治療室)25床の計46床です。医師およそ10名、看護師およそ60名で治療にあたっており、年間の入院数はおよそ300~350名です。特に出生体重1,000グラム未満の超低出生体重児の治療を特徴としています。
院内出生、院外出生の患者様の割合はおおよそ7対3といったところです。
早産での分娩が予想される場合、おなかの中のお子さんに何らかの病気等が疑われる場合は、妊婦さんにあらかじめ入院していただき、出生後すぐに治療が開始できるようにしています。
一方、院外で重症のお子さんが生まれた場合は、救急車で当科の医師と看護師が出向くお迎え搬送を24時間体制で行っています。その際、当科で対応できない外科系の症状の赤ちゃんは、千葉県こども病院、千葉大学医学部付属病院、東京女子医科大学八千代医療センターなどに搬送しています。
風通しのよさも、特徴です。中規模病院ならではの診療科間の垣根の低さを活かし、他の科の医師との連携が取りやすい体制となっています。赤ちゃんの病気の種類によっては小児外科、耳鼻科、眼科、心臓血管外科の医師と連携して治療に当たっています。
なお、2026年度開業予定の新病院ではNICUのベッドが24床に増床される予定で、これまで以上に多くの赤ちゃんをお迎えできるようになる見込みです。
使命感のもとで
── どのような想いで治療に当たられていますか。
私が新生児科医として千葉市立海浜病院に赴任して30年が過ぎました。その間、新生児医療は劇的な進歩を見せ、昔であれば救命できなかった赤ちゃんの命も救えるようになりましたし、重い後遺症をもたらしてしまうケースも減っています。その一方で退院された後に発達障害が明らかになるケースが増えているとも感じます。地域の医療機関との連携のもと、そうしたお子さんのフォローは今後の課題ではないかとも考えています。
一般的に新生児科医は激務とされていますが、長く続けてこられた理由の一つに、激務ゆえに新生児科に携わる医師が少なく、“自分がやらなければ”という使命感があったことは確かです。千葉市から習志野市、四街道市、市原市といった広範なエリアの市中病院として、入院治療の必要な赤ちゃんのために力を尽くしたいという想いが変わることはありませんでした。
また、赤ちゃんが生まれた瞬間から携わり、その子が元気になって退院していくまでずっと寄り添っていけるという点も大きなやりがいです。誕生したばかりの命を救う仕事に対する誇りは、常に胸の中にあります。
より多くの赤ちゃんを救いたい
── 市民の皆様にメッセージをお願いします。
心臓の病気や染色体の病気など、赤ちゃんがおなかの中にいる段階で病気が疑われる場合は、産婦人科の外来で私たち新生児科医も妊婦さんに面会しますし、出産後は産婦人科から渡されたバトンをしっかりと受け取ります。また、多胎出産などのハイリスク出産の場合にも十分な備えを行っています。
新病院はNICUのベッドが増えますし、これまで以上に他の診療科の医師との連携のもと、さらに多くの赤ちゃんの命に寄り添いたいと考えています。
