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下肢静脈瘤について

下肢静脈瘤について

海浜病院心臓血管外科は、下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)の診断・治療に対応しています。下肢静脈瘤について、できる限り簡単に、わかりやすく説明します。

下肢静脈瘤はどんな病気ですか?

下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は、下肢(足)の血管(静脈)が太くなって、コブ(瘤)のように浮き出て見えるようになった状態のことです。

この病気は、静脈内の血液が何らかの要因で逆流して溜まってしまい、静脈が膨れ上がるなど正常な形状を維持できなくなることで起こります。

下肢静脈瘤のイメージ写真
下肢静脈瘤の外観(例)

下肢静脈瘤の
症状について

下肢静脈瘤はどのような症状がでますか?

下肢静脈瘤になると、初期には何も症状がないことが多いのですが、進行すると外見上の症状としては足の皮膚の下に蛇行した血管が青黒く浮き出て見えるようになったり、血管がコブのように膨らんだりします。

身体的な症状としては、足のだるさや重さ、むくみ(特に夕方や長時間立っていた後)や痛みが出たり、足のムズムズとした不快感やこむら返り(足が攣る)を起こすことがあります。

下肢肢静脈瘤の症状が深刻化すると、皮膚が茶褐色や黒褐色に色素沈着したり、皮膚炎や静脈炎がおきて強い痛みを伴ったり、さらには治りにくい潰瘍を形成することもあります。
なお、下肢静脈瘤の症状は足に血液がたまることによっておこるので、長時間立っていた後や、血液が鬱滞する午後から夕方にかけては症状が強くなる傾向があります。


下肢静脈瘤の主な症状

  • 足の血管が浮き出る
  • 足の血管がボコボコと膨らむ
  • 足(特にふくらはぎ)がだるい・重い
  • 足がむくむ
  • 足にムズムズと不快感がある・血管がピリピリする
  • ふくらはぎがこむら返りになる(足が攣る)
  • ふくらはぎに湿疹ができる
  • くるぶしあたりが茶褐色・黒褐色になる
  • 下腿を中心に潰瘍ができる

なお、足を強くぶつけたりすることがあっても、下肢静脈瘤で膨らんだ血管が破裂することはありません。
同じ血管が膨らむ病気の「動脈(どうみゃく)瘤」は大きくなると破裂し、命に関わる場合もありますが、下肢静脈瘤では生命に関わるようなケースはありません。

下肢静脈瘤の
診断・治療について

下肢静脈瘤はどのように診断しますか?

静脈瘤は患部の見た目や症状から判断されることが多いですが、確定診断には検査を行います。

超音波(エコー)で血流の状態や弁の機能を詳しく調べることで下肢静脈瘤の診断が可能となりました(場合によってはCT検査なども追加で行います)。

下肢静脈瘤の種類はどのようなものがありますか?

下肢静脈瘤は目で見た太さによって「くもの巣状静脈瘤」・「網目状静脈瘤」・「側枝型(そくしがた)静脈瘤」・「伏在型(ふくざいがた)静脈瘤」の4種類に分類されます。

下肢静脈瘤の分類

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タイプ 見た目の特徴 好発部位 主な治療法
くもの巣状 赤や青の糸のような細い血管が広がる 太もも含め下腿のどの部分にも現れる 保存療法
硬化療法
網目状 静脈が青く編み目のように見える。(くもの巣状静脈瘤がもう少し大きくなったような見た目) 太もも含め下腿のどの部分にも現れる
即肢型 局所的にやや細い血管が浮き出す。この静脈瘤より血管のコブといった表現される方が多い。 静脈の走行がより表層に多くなる。ひざ下に表れやすい
伏在型 血管が太く膨らみ、ボコボコとした大きな膨らみができる 大伏在静脈からのものは膝上下の内側に現れることが多く、小伏在静脈からのものはふくらはぎの内側に現れることが多い 保存療法
硬化療法
外科的治療

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下肢静脈瘤の治療はどのように行いますか?

下肢静脈瘤の治療は、全ての症状に外科的な手術が必要なわけではありません。症状がない場合や見た目が気にならない場合は特に治療の必要はありません。

伏在型以外の軽度〜中程度の静脈瘤で、だるさ・痛みなどの症状が出ている場合は、医療用のストッキング(弾性ストッキング)を着用して圧迫する保存療法や、変形した静脈に硬化剤を注射する硬化療法によって治療します。
さらに症状が進行してボコボコと大きい静脈瘤が目立つようになった場合(伏在型静脈瘤)や皮膚炎を起こしている場合は、外科的な治療(カテーテル治療ほか)を選択します。

下肢静脈瘤の治療法はどのようなものがありますか?

下肢静脈瘤は命にかかわる病気ではないので、症状や超音波検査をもとに、最も効果がありできるだけ負担の少ない治療法を選択することが大切です。
下肢静脈瘤に対する主な治療法は下記のとおりです。

① 圧迫療法(保存療法)

日中に特殊な圧迫ストッキング(弾性ストッキング)を着用し、脚部を適切に圧迫し、静脈の血液の流れを良くすることで症状を改善します。

医療用ストッキングは足先の圧迫が強く、脚の付け根にいくほど弱くなる加工が施されたストッキングです。
なお市販でも弾性ストッキングは購入できますが、きちんとサイズのあったものでないと治療効果はありません。
潰瘍の症例では必須の治療となります。

② 硬化療法

軽度な下肢静脈瘤(網目状・クモの巣状静脈瘤)の場合の治療に用いられます。
静脈瘤の症状がある部分に硬化剤を注射して静脈瘤そのものを閉塞する治療法です。

治療箇所は内出血が起こり赤黒くなりますが、1~2週間程で消えます。この時、静脈に沿って皮膚が茶色くなることがあり(色素沈着)、その後静脈瘤が硬くなってしこりになります。
半年も経つとしこりは消えますが、色素沈着は消えるまでしばらくかかることがあります。

③ 外科的治療(ストリッピング治療)

ストリッピング手術は、古くから下肢静脈瘤の手術として確立されています。

静脈の逆流防止弁が壊れてしまった伏在静脈瘤を手術で引き抜いてしまう手術で、従来のストリッピング手術ではワイヤーに血管を結び付けて血管を引き抜き切除するのが一般的でしたが、切開をできるだけ少なくすることが可能です。

従来のストリッピング手術は1週間程の入院が必要でしたが、従来に比べて術後のキズも小さく、身体への負担も少ないのが特徴です。

④ 外科的治療(レーザー焼灼・ラジオ波治療)

静脈瘤血管内焼灼(しょうしゃく)術といい、静脈の中にカテーテルを通して、カテーテルからの熱によって下肢静脈瘤をふさいでしまう方法です。

ストリッピング手術は、静脈(下肢静脈瘤)を手術で切って、取り除きます。
ストリッピング手術では足のつけ根とその下流の複数箇所を切開しなければならないのに対し、カテーテル治療ではカテーテルの刺入部となる場所に細い針を刺すだけで治療することができます。
また、太ももの血管を引き抜かずその箇所で焼いて塞いでしまうので、出血や手術の後の痛みが少なくなります。この時、大きい瘤は同時切除することもあります。

⑤ グルー治療(VenaSeal療法)

下肢静脈瘤の最も新しい治療法で、血管内に静脈治療用の糊(シアノアクリレート)を注入して、静脈と接着・閉鎖します。
血管内焼灼術と違い血管内塞栓術の場合は熱による組織の損傷の危険性がないため、血管周囲に局所麻酔をする必要がありません。したがってカテーテルを入れる部分にのみ局所麻酔をするだけで手術が可能となっています。残存する瘤は硬化療法などで対応します。なお、薬に対するアレルギー反応や炎症反応が起こることがあります。

海浜病院は最新治療法であるグルー治療に対応しています。

下肢静脈瘤の治療は保険適用ですか?

下肢静脈瘤に関する手術はすべて医療保険の対象となっています。

また、下肢静脈瘤の手術は民間の生命保険・医療保険の対象になる場合があります。手術給付金の支払可否はご加入の生命保険会社が判断しますので、詳細はご加入の生命保険会社にお問い合わせください。

下肢静脈瘤についてのQ&A

下肢静脈瘤になる原因はなんですか?

下肢静脈瘤は、静脈にある弁が壊れたり、機能が低下したりすることで起こります。

静脈は体中の血液を心臓に戻す働きをしており、特に足の静脈は下から上へ、重力に逆らって血液を心臓に送り返す必要があります。心臓から遠い位置にある下肢の静脈は心臓の拍動による圧力で血液を送り返すことができません。
そのため、「ふくらはぎの筋肉」が収縮して静脈の中の血液を押し上げ、途中の血管内にある“ハ”の字型の「弁(静脈弁)」という構造が血液が足のほう逆流しないように支えていますが、静脈弁が壊れてきちんと閉まらなくないと、下流の静脈に血液が溜まり、血管がこぶ(瘤)のように膨らんで静脈瘤の症状が顕著になります。

下肢静脈瘤になりやすいのはどんな人ですか?

下肢静脈瘤は特定の原因のみで発症するものではありませんが、常に足の静脈が圧迫されるような状況が続き、静脈弁への負荷が中長期的に続く環境にいる人は要注意だと言えます。
関連因子としては下記のような要因が考えられています。

  • 立ち仕事やデスクワーク
  • 妊娠・出産を経験した女性
  • 肥満や運動不足
  • 中高年齢者
  • 激しいスポーツ
  • 遺伝的要因

いずれも脚の静脈が圧迫されるなど、静脈弁への負荷が中長期的に続くことが要因と考えられています。
また、先天的に静脈や弁の機能不全がみられたり、脚の血流が滞りやすい体質をもっているなど遺伝によって発症するケースもあります。

下肢静脈瘤を放置しているとどうなりますか?

下肢静脈瘤自体は良性の病気であり、(見た目は別として)放置してもコブが破裂したり、血栓ができて心筋梗塞や脳梗塞の原因になったり、その他の命を危険に晒すような病気に繋がることはありません。

それでも、足のだるさや、痒み・むくみなどの症状が慢性的におこり生活の質(QOL)を低下させます。痒みから皮膚を傷つけて炎症を起こしたり、潰瘍を併発して結果として重症になることがあります。

下肢静脈瘤は基本的には進行性の疾患ですので、症状を改善するには治療が必要となります。

下肢静脈瘤は予防できますか?

下肢静脈瘤の完全な予防法はなく、また静脈瘤の治療薬もありません。

ただ、以下のような生活習慣やセルフケアを続けることで、ある程度症状を軽減したり、予防効果が期待できます。

  • 長時間の立ちっぱなしや座りっぱなしを避ける
  • 足のストレッチやマッサージ
  • 適度な運動
  • 弾性ストッキングを着用する
  • 適正体重を維持

下肢静脈瘤は自力で治せますか?

下肢静脈瘤が自然に治ることはありません。
下肢静脈瘤を自力で治す方法としてマッサージやストレッチが紹介されることがありますが、いずれも症状の予防や一時的な緩和にはつながっても、治療ではありません。

下肢静脈瘤は再発しますか?

残念ながら下肢静脈瘤は、数年してから再び静脈瘤ができてしまう「再発」が起こることがあります。初発時に適切な治療をした場合でも、治療後10年以上経過すると10~20%の再発率があることが分かっています。

海浜病院の
下肢静脈瘤治療について

下肢静脈瘤の治療は何科で受けられますか?

海浜病院では心臓血管外科にて診察・治療いたします。

どのようにして受診できますか?

当院での受診を希望の方は他院からの診療情報提供書(紹介状)をお手元にご用意の上、予約センターで予約をお取りになってからご来院ください。

予約の電話番号・受付時間

【電話受付時間】
月~金曜日:9:00~12:00 / 13:00~16:00
予約専用電話:043-277-8014

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