千葉市ホームページ

文字サイズ

〒261-0012 千葉市美浜区磯辺3-31-1Tel. 043-277-7711(代表)

診療科のご案内

小児・乳幼児食物アレルギー

小児・乳幼児食物アレルギー

小児・乳幼児の食物アレルギーについて

食物アレルギーとは、特定の食物に対して免疫反応が過敏に働いてしまい、からだに様々な症状を引き起こしてしまう現象です。
子ども、特に乳幼児に多く、乳幼児の5~10%、学童期の1~3%に食物アレルギーがあると考えられています。

食物アレルギーの原因

食物アレルギーの原因食物は個々によって異なりますが、鶏卵、牛乳、小麦が多く、全体の7割以上を占めます。その後、ピーナッツ、果物類、魚卵、甲殻類が続きます。

アレルギーの原因食物の割合グラフ
出典:食物アレルギー診療ガイドライン2016
日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会

小児食物アレルギーのタイプとそれぞれの症状

食物アレルギーは1才未満の乳児で最も多く発症しますが、厚生労働省の調査によると小児から成人まで幅広く認められています。年齢とともに認められる典型的なアレルギー症状は下記の通りです。

小児食物アレルギーのタイプとそれぞれの症状の分類イメージ
小児食物アレルギーのタイプとそれぞれの症状の分類イメージ

新生児期・乳児期のアレルギー

新生児乳児消化管アレルギー
血便、嘔吐、下痢などの症状を来たします。原因食物は牛乳(乳児用粉ミルク)が多いですが、固形食品が原因となる場合もあります。
多くの場合は成長とともに自然に治ります。

乳児期のアレルギー

アトピー性皮膚炎の関与する食物アレルギー
乳児のアトピー性皮膚炎に合併する食物アレルギーです。
全てのアトピー性皮膚炎に食物アレルギーが関与するわけではありません。

乳児期〜成人のアレルギー

即時型症状
典型的なタイプの食物アレルギーです。
原因食物を摂取後2時間以内(多くは15分以内)に、蕁麻疹(じんましん)、咳(せき)、嘔吐など多彩な症状を呈します。

また、アナフィラキシー(アレルゲンなどが体内に入ることによって、複数の臓器や全身に過敏なアレルギー症状が出ること)を起こす場合があります。

幼児期〜成人のアレルギー

口腔アレルギー症候群
花粉症の人が、果物や野菜などを摂取した時に口や喉に症状が現れるアレルギーです。

学童期〜成人のアレルギー

食物依存性運動誘発アナフィラキシー
特定の食物摂取後に運動をすることで、アナフィラキシーが誘発されるものです。

即時型症状とアナフィラキシーについて

即時型アレルギー反応は、身体各器官で次のような典型的症状として現れます。

各器官におけるアレルギー症状の図
身体に現れる主なアレルギー症状

身体器官に現れる主なアレルギー症状

皮膚・粘膜の症状
じんましん・かゆみ、赤み・むくみ、口や喉の違和感、くしゃみ、鼻汁

消化器の症状
嘔吐・吐き気、腹痛、下痢

呼吸器の症状
咳(せき)、ゼイゼイ、声枯れ、呼吸が苦しい

神経の症状
元気がなくなる、興奮状態になる、頭痛、眠りがち、意識がおかしい

循環器の症状
脈がはやい、脈が不整、血圧が下がる 顔色や皮膚の色が悪い、ぐったりしている

食物アレルギーの診断・治療

食物アレルギーの診断方法

食物アレルギーの診断は、

  • 特定の食物摂取により症状が出ること
  • それが免疫学的機序を介していること
の2点を証明することで診断されます。

(1)特定の食物摂取により症状が出ることを確認するために、まずは詳細な問診を行います。必要に応じて食物経口負荷試験を行います。食物経口負荷試験は、アレルギーが疑われる食品を少量から摂取し、症状の有無を確認する検査です。
症状が出る可能性があるため、症状が出た場合はすぐに対応ができるよう、病院で医療スタッフが近くにいる状況で摂取を行います。

(2)免疫学的機序を介しているかどうかの確認には、血液検査(一般的には特異的IgE抗体検査)皮膚テスト(皮膚プリックテスト)が行われます。

食物アレルギーの治療法について

標準的には、食物アレルギーと診断された食品を除去し、耐性獲得(食べられるようになること)を待ちます。
小児期に多い、鶏卵、牛乳、小麦アレルギーの多くのお子さんは、年齢と共に自然に治って食べられるようになります。また、誤って摂取して症状が出てしまった時に備えて、抗アレルギー薬や必要なお子さんにはアドレナリン自己注射薬を常備してもらいます。

海浜病院の検査・治療

当院での検査・治療について

当科では、必要なお子さんに血液検査皮膚テスト食物経口負荷試験を行っております。

血液検査
血液検査にもいくつか種類がありますが、最も一般的なものは、「特異的IgE」を測定するという検査です。IgEとは、感作の程度を表します。検査で陽性となった食物でも、食べた時の症状を認めなければ食物アレルギーとは診断されず、除去する必要もありません。そのほかにも、好塩基球ヒスタミン遊離試験や、好塩基球活性化試験などがあります。

どの検査が必要なのかは個人で異なりますので、医師と相談して決めていきます。

皮膚テスト(皮膚ブリックテスト)
皮膚の上に直接アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)液を置いて、プリックテスト専用の針で、アレルゲン液を置いた部分の皮膚を軽く刺します。アレルギーの可能性があると、針で刺された部位に膨疹ができます。

食物経口負荷試験
食物経口負荷試験は問診や血液検査、皮膚検査で疑われた食品を実際に病院で摂取してみる検査です。実際に食べてみて症状の有無を判定するので、最も確実な診断法になります。

当院では、原則、日帰り入院で行っております。万が一症状が出た時にすぐ対応できる体制を整えた環境下で、単回あるいは複数回負荷食品を摂取し、症状の有無を確認します。

受診方法

専門外来は完全予約制ですので、当院で検査・治療を希望される場合は、かかりつけの医師の紹介状と『事前予約』が必要です。
事前予約の方法については「事前予約・予約変更について」をご確認ください。


参考サイト