臨床検査科
臨床検査科では、正確で迅速な検査を実践するため、下記の資格・認定資格を取得した臨床検査技師を、微生物学検査・病理細胞診検査・一般検査・生理検査・聴覚検査・輸血検査・血液検査・生化学・免疫検査及び外来患者さんの採血などの各検査室に配置し、質の高い検査結果を迅速に報告して、患者さんに安全と安心を提供する事を目標に臨床検査業務を行なっています。
新型コロナウイルス検査にも24時間対応できるよう、職員全員で取り組み、宿日直は二人体制で行なっています。
正規職員24名、会計年度任用職員4名、ブランチ職員6名の合計34名で、24時間365日対応しています。
臨床検査技師長 溝口 亜由美
採血・検体受付部門
医師の指示に基づいて外来患者さんの採血業務を行っています。
翌日の病棟での採血管を準備するなど、病棟支援を行っています。
- 依頼された検査に応じて、ラベル付採血管が自動的に準備されます。
- 自動化することで「血液のとり忘れ」や「採血管種類間違い」を防いでいます。
- 患者さんとり違え防止のため、お名前・生年月日を確認させて頂いています。
採血の際、気分の悪くなった方やアルコールアレルギーや止血に影響ある薬を服用されている方には、特に注意深く対応しています。
この部門では、採血業務のほかに経口ブドウ糖負荷試験、ピロリ菌呼気試験などの業務も行っています。
生化学・免疫検査部門
生化学検査は血液中の蛋白質・脂質・酵素・老廃物などの有機物及び電解質などの無機物や薬物検査などを行っています。また、免疫検査では血液中の肝炎ウイルスやエイズウイルス等の感染症の原因となる抗原や抗体の検出を行っています。
生化学・免疫・腫瘍マーカー等、「検査結果を診察室でもらったけど…」「この検査で、何がわかるのかな?」にお答えして、検査基準値と簡易説明を一覧表(PDF)にしました。
生化学検査とは
肝臓・腎臓・膵臓などをはじめとする身体の状態を数値で把握できるようにしています。悪玉・善玉コレステロールや糖尿病の指標で知られている血糖値・HbA1cなどについても、この生化学部門で調べています。
免疫検査とは
生化学検査と同じ血液成分(血清)を調べることで、ウイルス感染や腫瘍細胞から放出される物質を数値化し、目で見える形で調べています。
微生物検査部門
感染症の原因となる微生物を特定し、有効で最適な治療薬剤の選択をしています。また、病院感染制御に積極的に取り組んでいます。
- 細菌検査やインフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなどの検査を実施しています。
- 細菌による感染症が疑われる場合、喀痰や尿などの生体材料をもとに培養検査を実施し、その原因菌を検出します。同時にどの薬剤がそれらに有効であるかを検査し、医師に報告を行います。
- 検体によっては受付後、すぐにスライドグラス上に標本を作製し、顕微鏡で推定菌の有無を30分以内に報告するなど迅速な検査体制を心がけています。
- 院内感染として問題となる多剤耐性緑膿菌・MRSAなどの多剤耐性菌の有無も把握する部署であるため、その情報は院内の感染対策チーム、委員会に速やかに報告を行い、感染の拡大を防ぐよう努めています。
- 寄生虫卵や原虫検査も微生物部門で実施しています。
細菌性腸炎疑い患者便の顕微鏡検査の写真(炎症細胞と共にキャピロバクターを推定させる菌を多数認める⇒キャピロバクター腸炎と診断)
赤く染まった小さならせん状の菌がキャピロバクターです。(キャピロバクター菌は加熱不十分の鶏肉を食べることによって感染する恐れがあります。)
病理・細胞検査部門
病理検査って何をしているところ?
病理検査の最も重要な仕事は「癌の最終診断」をすることです。
現在、心筋梗塞や脳血管障害とともに非常に重要な疾患である「癌」は内科・外科・婦人科・耳鼻咽喉科などの臨床医が診察や内視鏡検査などを行い、また超音波やCT、MRIなどの画像診断をもとに「臨床的に」癌と推定診断します。
しかしながら癌の治療を行う上では、原則として「病理学的検査」による最終診断をしなければなりません。
様々な方法で採取された病変部の組織を顕微鏡で診て癌かそうでないかを診断します。
その形態学的な判断は、病理専門医によって行われます。
病理組織検査(生検)
胃や大腸の内視鏡検査の時に採取する粘膜の検体、乳房の超音波検査などの際に針を刺して採取する検体、婦人科での内診の際に鉗子で採取する子宮頚部の検体などから、臨床検査技師が顕微鏡で観察できる標本(組織標本・プレパラート)を作製しその像を見て診断します。
病理組織検査(手術材料)
手術で摘出された臓器(腫瘍)からは多数の組織標本を作製し、腫瘍の大きさ・進行度・リンパ節転移の有無などを調べ、癌が完全に切除されているかどうかなど、手術後の詳細な検索をします。
細胞診検査
子宮頚部を綿棒やブラシなどで擦ったり、乳腺・甲状腺に針を刺して細胞を吸引し採取された細胞を顕微鏡下で観察して、良性・悪性の判断や次の検査に進むかどうか、問題となる所見はないかなどの判断をします。日本臨床細胞学会認定の細胞検査士がその任に当たります。この標本を詳しく診て、問題例については細胞診専門医とともにもう一度観察して結果を報告します。
病理解剖
病理解剖は、入院中の患者さんが不幸にして病死された場合、ご家族の承諾のもと、その最終的な診断、直接死因の究明、治療効果の判定、治療法の評価などを目的として、全身臓器にわたって病理学的検索を行うものです。
血液一般検査・凝固検査部門
血液中のヘモグロビン量、白血球・赤血球・血小板などの数、及び形態の検査、骨髄液中の細胞数と形態検査、血液凝固能を調べる血液凝固検査などをおこなっています。そのほかに血沈検査、脳脊髄液検査、精液検査、穿刺液検査も血液検査室が担当しています。
血液検査一般
多項目自動血球分析装置を使って貧血の状態や白血球、血小板など血球の異常を検出しています。新生児用微量血球計数機を備え、超低体重児の微量検体検査測定に対応しています。
血液凝固検査
血液凝固自動分析装置を使って出血性疾患や血栓症に必要な血液の凝固機能を検査しています。血液が固まりにくい病気や血栓症を見つけることができます。血栓予防薬の量が適正かどうか調べます。
輸血検査部門
血液型や不規則抗体スクリーニング・交差適合試験など輸血療法に関連する検査を行っています、また、輸血用血液製剤を一元管理し、副作用についても全症例把握することで、より安全で迅速に適正輸血が行えるよう推進しています。
24時間安全な輸血療法が行えるよう、全自動分析器と輸血検査システムを整えています。
一般検査部門
一般検査部門では、尿検査、妊娠反応検査、便潜血検査を行っています。
尿検査は、尿に含まれる成分(蛋白、糖など)を測定する定性検査と、尿に含まれる細胞などを顕微鏡で確認する尿沈渣があります。
妊娠反応検査は、尿中に含まれるホルモンを調べることによって、妊娠があるかどうかを調べています。
便潜血検査は、便に含まれている血液を検出し、大腸などの消化管からの出血が無いかどうかを調べることで、大腸癌の早期発見に役立てています。
1階にある採尿室は、検体提出窓口と隣接していて、採尿カップを提出できるようになっています。
曇りガラスになっているためプライバシーに配慮した構造となっています。
尿を採取し、窓口に提出できるようになっています。20分おきに検体を集配し、2階の中央検査室で検査を実施しています。
聴覚検査部門
耳鼻科外来の一角に検査室があり、各種聴力検査のほか、日本耳鼻科学会における新生児スクリーニング検査の二次聴力検査機関であるため、様々な検査を行っています。
平衡機能・顔面神経麻痺・めまい・睡眠時無呼吸症の検査など行っています。
聴性定常状態誘発反応(ASSR)
90分くらいかかる検査なので、新生児・乳幼児では、薬物で鎮静化して睡眠状態で検査します。
この検査の目的と特徴
- 意思表示のできない新生児・乳幼児の聴力検査に適しています。
- 聴力を早い時期で把握でき、訓練、治療、療育につなげる手助けとなります。
- 耳から1秒間に40~100回の音を聞かせ脳波の反応を解析しています。
- 音の高低(周波数:HZ)と大きさ(音圧:dB)を詳しく検査することができ、人工内耳や補聴器の調整に有用です。
- 今までの検査では、高音域での精査が主流でしたが、低音から中音の反応も診断可能となり、低音障害型や高音障害型など周波数に偏りのある難聴の精査に有用となりました。
標準純音聴力検査
最近、聞こえにくいと感じるときは聴力検査を受けてみては如何でしょうか?気導聴力検査と骨導聴力検査で難聴の種類と程度がわかります。
補聴器外来
聞き返しが多くなっていませんか?
音は聞こえるけれど言葉がわからず、コミュニケーションがとれないなど、補聴器装用の有効性は検査しないとわかりません。
当院では言語聴覚士が行う補聴器外来があり、補聴器のフィッティング装用指導を行っています。
生理検査部門
患者さんの身体を直接検査して情報が得られる心電図・超音波・呼吸機能・脳波などの各種検査を実施しています。
安心して検査を受けることができるよう、丁寧な接遇を心掛けています。
心電図検査
心臓からの微弱な電流を波形として記録しています。脈の不整や、虚血性の心電図変化を捉えます。
安静時の心電図の他に、運動負荷心電図・24時間心電図(ホルター心電図)・発作時携帯型心電図などの検査も実施しています。
呼吸機能検査
空気を出し入れする肺の機能を調べる検査です。肺の病気の診断や重症度の評価に役立ちます。
通常の呼吸機能検査の他に、気道可逆性検査や、より精密な機能を調べる残気量・拡散能検査も実施しています。
超音波検査
各臓器を影絵にして見るような検査で、検査技師と各診療科の医師が協力しながら実施しています。
検査部位は、心臓・腹部・血管(頸動脈・下肢静脈)・乳腺などです。
その他、脳波検査、聴性脳幹反応、新生児聴力スクリーニング、動脈硬化検査、超音波骨密度、24時間携帯血圧測定などの検査を実施しています。
資格等
- 臨床検査技師 28名
- 医療安全管理者 1名
- 認定POCコーディネーター 1名
- JHRS認定心電図専門士 1名
- 超音波検査士(健診) 1名
- 超音波検査士(循環器) 3名
- 超音波検査士(消化器) 4名
- 認定臨床微生物検査技師 1名
- 感染制御認定臨床微生物検査技師 1名
- 二級臨床検査士(循環生理学) 1名
- 二級臨床検査士(呼吸生理学) 1名
- 二級臨床検査士(微生物) 1名
- 二級臨床検査士(血液学) 1名
- 認定輸血検査技師 1名
- 細胞検査士 5名
- 国際細胞検査士 1名
- 緊急臨床検査士 2名
- 臨床工学技士 1名
- 言語聴覚士 1名
- CPAP療法士 1名
- 管理栄養士 1名
- 千葉県糖尿病療養指導士 3名
- 健康食品管理士 1名
- 有機溶剤作業主任者 2名
- 特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者 2名
- 危険物取扱者(乙種第4類) 1名