院長ご挨拶
海浜病院は、「市民に選ばれる市民のための安心で心あたたまる病院」という理念を掲げ、胎児から高齢の方まで幅広い患者さんに対応できるシームレスな診療体制を整えています。
海浜病院のビジョンとして、
- 周産期・小児・移行期の縦長医療の実践
- 高齢者医療、がん診療、緩和、在宅診療支援
- これらを実現するためのホスピタリストの育成
- そして、女性医師が活躍できる職場
周産期・小児診療においては、地域周産期母子医療センターや地域小児科センターに指定され、一般診療だけでなく、救急診療や専門診療も行っています。産科病床30床、母体・胎児集中治療室(MFICU)3床、新生児集中治療管理室(NICU)21床、新生児治療回復室(GCU)25床を備えており、ハイリスクの妊産婦や低出生体重児の患者さんを受け入れています。
小児の救急医療では内因系に加えて頭部打撲、怪我、薬物誤飲などの外因系を受け入れ、夜間応急診療を含めて年間3000人前後の救急車を受け入れております。 また、医療の進歩とともに成人になった小児の基礎疾患をもつ患者さんへの医療(移行期医療)の提供が求められる時代となりました。治療選択が難しい患者さんには必要な情報を医療者側が提供し、患者さんの意向を情報共有し、患者さんにとって望ましい治療方針をご相談して決めていきたいと考えております。
当院は千葉県がん診療連携協力病院に指定され、がん患者さんに対して、外科医、内科医、放射線科医による集学的治療や、緩和ケアサポートチームによる適切な精神的ケアや痛みのケアを提供しています。また、2019年に救急科を新設し、成人、高齢者の救急車対応を積極的に行っております。なかには、初期対応後に3次医療機関に搬送させていただく場合もございます。
我が国で高齢化社会が進むなか、多臓器にわたる病気を抱えておられる高齢者の方々を総合的に診療し、病棟担当医としてケアする「ホスピタリスト(病院総合医)」の重要性が高まっていくと考えられます。そこで、海浜病院ではホスピタリストの研修プログラムを作成しました。時代に求められる医療を行うためには、視野を広く持ち、あらゆることに柔軟に対応する力が求められると言えるでしょう。今後、さらに診療科の整備を進めて、消化器・循環器疾患、糖尿病などの専門医と病院総合医が連携して患者さんをケアする仕組みを強化いたします。また、泌尿器疾患、耳鼻科、眼科疾患など、地域のみなさまに安心で信頼される専門診療を目指して参ります。
海外では学会理事や病院管理者に女性医師が登用されるなか、日本ではまだまだ海外のようには至っておりません。こうした我が国の状況にあって、海浜病院では30%以上の割合で女性スタッフが在籍し、活き活きと働いております。今後も女性医師が活躍出来る病院を目指していきたいと思っております。
最後に、現在、幕張新都心若葉住宅地区に、療養環境、感染対策に配慮した新病院を建設中で、2026年秋頃に開院となる予定です。今後も引き続き、当院は地域の医療施設と密接に連携しながら、地域住民の皆様に、安心安全な医療を提供できるよう努力してまいります。
千葉市立海浜病院
吉岡 茂