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ヘルニア専門外来について

青葉病院 消化器外科 統括部長 清水 康仁
青葉病院 消化器外科 統括部長 清水 康仁

高齢の男性に多い鼠径ヘルニア

──鼠径ヘルニアとはどんな病気ですか。

鼠径(そけい)ヘルニアには、乳幼児から小児期のタイプと、成人のタイプがあります。成人タイプの鼠径ヘルニアは加齢によるものに加え、立ち仕事など腹部に過剰に圧力がかかりやすい人の場合にも起こりやすい病気です。圧倒的に男性に多いのは睾丸があるためです。

鼠径ヘルニアは、俗に“脱腸”とも言われるように腸が鼠径部から飛び出しているケースがほとんどです。最初は鼠径部の違和感だけですが、次第に腸が血流不全を起こし、痛みを伴うようになります。そのまま放っておくと、飛び出した臓器が壊死して激しい痛みにつながってしまいますので、ある程度大きくなり、痛みも出るようでしたら、手術を受けることをお勧めします。

患者さまには50代以上の方が多く、千葉市立青葉病院では90代の患者さまの手術も行っています。高齢者は便秘になりがちで、それが腹圧につながり、鼠径ヘルニアを引き起こしやすくなるわけです。

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術で実績

──どんな治療法がありますか。

実は鼠径ヘルニアは外科で最もポピュラーな病気で、国内で年間15万人以上が手術を受けています。さらに高齢化が進んでいるため、増加傾向にあります。私自身、1年間で120件以上も手術を行っているほどです。
手術についてですが、従来は開腹を伴う鼠径法という手術が一般的でしたが、千葉市立青葉病院では5〜12ミリの小さな孔を空けて手術する腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術で多くの実績があります。

退院後、すぐに仕事に戻れます

青葉病院 消化器外科 統括部長 清水 康仁

──腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の特徴は何ですか。

腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術の最も大きな特徴は、傷が小さくて体に優しい(低侵襲)ということです。また、鼠径部を広く剥離してメッシュで覆うことができるので再発しにくいという点も特徴です。当院では臓器損傷や癒着のリスクの少ない腹壁アプローチ法を主としており、実際、6年以上再発ゼロという実績となっています。

手術については、前日入院の翌日手術、退院は患者さまと相談の上、術後2日目というケースが一般的です。退院後は翌日から仕事も可能ですし、すぐに通常の生活にお戻りいただけます。仕事の制限はありませんし、もちろん入浴も可能です。

すぐに手術するわけではありません

──ヘルニア専門外来の特徴を教えてください。

鼠径部の病気ということで恥ずかしがる方も少なくありませんが、鼠径ヘルニアは非常に多い病気ですので恥ずかしがる必要はまったくありません。気にすることなく、鼠径部に違和感があるようでしたら、お気軽にご相談いただければと思います。

もちろんご相談があったらすぐ手術ということもありません。むしろ患者さまに病気をしっかりご理解いただき、違和感があるという程度でしたらそのまま経過を観察し、その後の経過で手術を希望された場合に手術させていただきます。

すぐに手術をするためではなく、鼠径ヘルニアと上手につきあっていただくためのサポートをするのが千葉市立青葉病院のヘルニア専門外来です。

多くの消化器手術を腹腔鏡で

青葉病院 消化器外科 統括部長 清水 康仁

──患者さんにメッセージをお願いします。

私は消化器外科医として腹腔鏡手術を専門として、様々な消化器手術を行ってきました。特に、大腸疾患、胆石症および虫垂炎などの手術に関しては、より負担が少なく、傷の目立ちにくい、単孔式腹腔鏡手術が患者さまに有用と考え、その導入に力を入れてきました。鼠径ヘルニアに限らず、専門としている腹腔鏡の技術を活かして患者さまの病気を癒やし、健康な生活を取り戻すお手伝いをすることに、大きな使命とやりがいを感じています。

鼠径ヘルニアは誰にでも起こりうるありふれた病気です。しかし、放置しておくと重症化するリスクがあります。恥ずかしがることなく、少しでも不安に思われるようでしたら、ぜひご相談ください。

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