心臓CT
心臓CTについて
64列マルチスライスCT
狭心症が疑われる方に対して行います。
造影剤という薬を静脈から点滴することにより、カテーテル検査と似た画像が得られます。カテーテル検査では、動脈から心臓の血管まで細い管を入れ直接造影剤を流すため、ごく稀ながら脳梗塞の合併症がありますが、心臓CTでは起こりません。
検査は日帰りで行われます。撮影は数十秒で終了しますが、検査前の準備、検査後の安静を含めて、1時間程度かかります。
心臓CTの診断力はどの程度なのでしょうか?
CTで狭窄がないと判断された場合には、カテーテル検査を行ってもまず狭窄はみつからず、この診断力はほぼ100%とされています。一方で、CTで病気があると判断されても、実際にカテーテルを行うと狭窄がない場合があり、この能力は90%程度とされています。冠動脈に石灰化(血管にカルシウムが沈着した状態)があると、診断力が低下します。
CT検査の適応について
人間ドックで健康な方に心臓CTを行う施設もありますが、症状がない方に対して検査を行いどのような有益性(メリット)があるのかは、まだ詳しくは分かっていません。心臓CTには放射線被爆の問題や腎機能への影響もあるため、私たちはリスクのない健康な方に対しては安易にCTを行うべきではないと考えています。当科では検査の有益性が大きいと思われる方や、胸痛などの症状がある方に対してのみ検査を行っています。
CT検査の流れ
当日の食事・内服薬については、検査・処置センターで説明があります。
- ベットの上に仰向けに寝ていただきます。心電図を測定するためのシールを身体につけ、造影剤を注入するための点滴を行います。検査前に血圧、脈拍を測定します。
- 心臓は絶えず動いているため、よい画像を撮影するためには脈拍数をゆっくりにする必要があります。そこで、脈拍数が多い方には脈を遅くする薬を注射することがあります。また、冠動脈をひろげる薬を舌の裏にスプレーします。
- よい画像を撮影するためには息止めも重要です。声にあわせて、息を止める練習を何回か行います。息止めは15秒程度です。
- 息止めの練習が終わり、十分に脈がゆっくりになったところで、撮影が始まります。造影剤が体の中に入るときに熱さを感じますが、すぐにおさまりますので、心配ありません。
- 検査が終了したら、脈拍数を落とす薬を使用されていない方は、帰宅となります。脈拍数を落とす薬を使用された方は、30分程度休んでいただきます。その後、血圧と脈拍数を測定し問題がなければ帰宅となります。
- 造影剤を用いるため、腎臓の機能が悪い方には施行できません。
- 造影剤による重篤なアレルギーが10-20万人に1人程度の可能性で起こるとされていますが、当院では検査中もスタッフが患者さんの様子を観察して、副作用に対して迅速に処置できるように準備しております。