救急集中治療科
特色・治療方針
救急医療は院外で発症した救急患者さんの診療を主とし、集中治療は院内で発症した重症患者さんの診療を主とします。
当科は、この一見異なった領域のように思える二つの領域で"Critical Care(クリティカルケア)"という共通項を幹とし、日夜診療にあたっています。すなわち、救急医療にしても集中治療にしても、生命危機に瀕した重症患者さんを救命することが、我々の専らとする医療です。
当院は千葉市の救急医療体制の中で中核的役割を果たしています。重篤な救急患者さんの受け入れを専門とする3次医療機関だけで、政令指定の100万人都市である千葉市の重症救急患者さんに対応しきることは、非常に困難です。
当院は年間約5,000件の救急車搬送を受け入れている2次医療機関であり、この件数は千葉市内のトップクラスです。この中には簡単な診察や処置のみで帰宅可能な初期(1次)救急医療(primary care:プライマリケア)の患者さんから、適切な処置を施さなければ命を落としかねない3次救急医療(critical care:クリティカルケア)の患者さんで含まれています。これらの患者さんを的確にtriage(トリアージ)し、患者さんに必要な救命処置を施すか、必要があれば3次救急医療機関へ転送することが求められています。当院はその橋渡しを担う、いわゆる2.5次の救急医療機関なのです。
ICU(集中治療室)は青葉病院内の救命医療において、救急部門は千葉市の2次救急医療において、最後の砦としてその役割を果たしています。当院は、この限られた医療資源とマンパワーを有効に活用するためにも、triage(トリアージ)システムを採用しています。
千葉市の休日や夜間の救急医療システムは、救急医療が必要な患者さんにまず初期(1次)救急医療機関である休日診療所あるいは千葉市夜間応急診療(夜急診)を受診していただき、その中で入院や処置が必要と判断された患者さんを、2次救急医療機関の当番病院に転送するシステムとなっております。当院救急部門の受診を希望される患者さんにあっては、上記の千葉市の救急医療システムをご理解頂き、重症患者さんの診療優先のため長時間お待ち頂くことや、初期(1次)救急医療機関の受診をお勧めする場合があることに、ご協力の程お願い申し上げます。
対応疾患
救急部門の
診療内容
救急外来に来院する患者さんの診療を行います。救急集中治療科の専従医が初診患者さんや特殊救急患者さん(心肺停止、ショック、多発外傷、急性薬物中毒など)に対応しています。各診療科の医師と協力して年間約5,500例の救急部門の来院患者さんに対応しています。
検体検査(血液、尿、髄液など)やレントゲン・CT検査が検査・放射線技師の当直体制によって、24時間対応可能になっています。
さらに、救急部門では救急外来に隣接して8床のオーバーナイトベッドを確保しております。夜間の入院にあたってはこのオーバーナイトベッドを使用することにより、夜の一般病棟への緊急入院を避け、翌日のスムーズな入院への移行が可能です。また、生命の危機に瀕する重篤な患者さんは、ICUに直接入室することが可能です。
当院は、3次救急医療機関や初期(1次)救急医療機関と連携し地域の救急医療体制のなかで重要な役割を果たしております。更に、重症患者さんの入院治療、対応可能な高度医療(緊急手術、処置)の提供、対応困難な高度医療(緊急手術、処置)を要する患者さんの選別と3次救急医療機関への転送を行います。また、救急救命士等に対する教育研修や災害医療への準備、協力なども行っています。
ICUの
診療内容
特定集中治療管理料の施設基準を満たすICU4床にて、重症患者さんに集中治療を提供しています。
3名の専従医が24時間体制で患者さんの治療にあたり、朝夕のカンファレンスを通して、各診療科や看護スタッフなどと治療方針を協議し決定しています。ICUでは、人工呼吸器管理、PCPS(経皮的人工心肺補助法)やIABP(大動脈内バルーンパンピング法)、各種急性血液浄化法(持続的緩徐血液濾過透析、血漿交換など)を用いた集学的治療を行っています。
診療実績
救急医療:診療実績
内科:常時24時間体制
救急集中治療科:平成22年度より常時24時間体制
外科・整形外科・小児科・産婦人科:当番日のみ
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集計 | 2018年度(名) | 2019年度(名) | |
---|---|---|---|
救急外来来院患者数 |
6,403 |
5,935 |
|
救急車での来院患者数 |
4,966 |
4,501 |
|
入院患者数 |
2,483 |
2,037 |
|
来院患者数 科別内訳 |
救急科 |
2,808 |
2,112 |
内科 |
1,688 |
2,481 |
|
外科 |
162 |
119 |
|
整形外科 |
1,081 |
828 |
|
外科系他科 |
380 |
130 |
|
産婦人科 |
246 |
222 |
|
小児科 |
12 |
14 |
|
精神科 |
26 |
22 |
集中医療:診療実績
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集計 | 2018年度(名) | 2019年度(名) | |
---|---|---|---|
ICU入室患者数 |
250 |
273 |
|
転入先 |
院内での転棟 |
127 |
101 |
院外から転入 |
123 |
172 |
|
診療科 |
内科 |
155 |
199 |
外科 |
22 |
19 |
|
整形外科 |
56 |
41 |
|
泌尿器科 |
11 |
13 |
|
産婦人科 |
3 |
1 |
|
特殊治療 |
人工呼吸器 |
90 |
115 |
血液浄化 |
33 |
31 |
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診療体制・スタッフ
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氏名 | 資格 |
---|---|
救急集中治療科統括部長 髙橋 和香 |
医学博士 救急科専門医 集中治療専門医 麻酔科専門医 急性血液浄化認定指導者 |
市立海浜病院 副院長(兼務) 織田 成人 |
日本救急医学会救急科専門医・指導医 日本集中治療医学会集中治療専門医 日本透析医学会透析専門医・指導医 日本医師会認定産業医 |
市立海浜病院 集中治療科統括部長(兼務) 立石 順久 |
日本救急医学会救急科専門医・指導医 日本集中治療医学会集中治療専門医 社会医学系専門医・指導医 日本外科学会認定登録医 日本DMAT隊員(統括DMAT) 千葉県災害医療コーディネーター ICD ICLS WSディレクター ・ICLSディレクター JPTECインストラクター ・世話人 MCLSインストラクター ・世話人 PALSインストラクター 日本医師会健康スポーツ医 |
市立海浜病院 医長(兼務) 國谷 有里 |
経営学修士 日本救急医学会専門医 |
日本救急医学会救急科専門医指定施設
日本集中治療医学会 集中治療専門医研修施設
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救急集中治療科医師養成プログラム
当科では、総合救急初期診療(Primary Care・北米型救急)とCritical Care(日本型救命救急)の能力を兼ね備えた救命救急の医師を養成するための教育プログラムを準備しております。