子宮鏡手術・子宮鏡検査について
子宮鏡手術について
このページでは、子宮鏡を用いた手術と検査について、できる限り簡単に、わかりやすく説明します。
「子宮鏡手術」とは何ですか?
子宮鏡手術とは、子宮手術用の内視鏡を子宮の入り口から挿入し、子宮内腔に突出している粘膜下筋腫や子宮内膜ポリープなどの病変を、子宮鏡の先端にある電気メスで切除する手術です。
子宮鏡に内臓のカメラで子宮内の様子をモニターに映し、医師はその画面を確認しながら手術を行います。 腟から直接子宮内に子宮鏡を挿入して行う手術のため、お腹に傷ができず、非常に低侵襲な手術です。
子宮鏡手術はどのような病気に適応されますか?
子宮粘膜下筋腫・子宮内膜ポリープ・中隔子宮・子宮内腔癒着症といった、子宮内腔の病変が治療対象になります。
ただし、非常に大きかったり、子宮内腔にあまり突出していない病変は、この方法では手術ができないことがあります。
子宮鏡手術のメリットは何ですか?
- 開腹手術や腹腔鏡手術と違い、お腹に傷ができません。そのため、体に負担がかかりにくく、痛みもほぼありません(個人差があります)。
- 短期入院(2泊3日)で、社会復帰がすぐに可能です。
- 子宮内腔病変によって、過多月経、月経痛、不正出血、不妊症にお悩みの方に対しては、体への負担が少なく、有効性の高い手術と思われます。
子宮鏡手術のデメリット(合併症)は何ですか?
- 子宮筋腫やポリープが大きい場合は、数回に分けて手術を行うことがあります。
- また、過多月経、月経痛、不正出血、不妊症などは、原因が多岐に渡ります。子宮内腔病変は症状の一因でしかない場合もあり、手術が成功しても症状が完全に改善しないことがあります。
- 病変を削っていく時などに、子宮に孔があいてしまう「子宮穿孔(しきゅうせんこう)」という合併症を起こすことがあります(頻度0.8〜0.9%)。その場合は、腹腔鏡手術や開腹手術に切り替えて、孔をふさぐ場合があります。
- 手術は、手術用の特殊な水を子宮の中に入れ、子宮内腔を広げながら行います。それにより血液中の電解質のバランスが崩れ、極めて稀に水中毒という合併症を起こすことがあります。点滴治療で対応します。
子宮鏡手術の費用はどのくらいですか?
保険適応の手術となり、2泊3日で約11万円(3割負担)です。
ただし治療内容やお部屋の差額料によっても異なりますので、あくまで目安となります。
子宮鏡手術はどのような麻酔で行いますか?
当院では、全身麻酔、または腰椎麻酔を用いて手術を行います。
麻酔科の専門の医師が施行し、術中に痛みはありません。
子宮鏡手術の予定はどのようになっていますか?
① 手術前(外来)
外来でエコーやMRI、子宮鏡検査を行い、子宮内腔の病変を確認します。
手術日を決定し、その1ヶ月以内に手術前検査(心電図、レントゲン、採血)と手術の説明を受けていただきます。わからない事があればご遠慮なくお尋ねください。
② 入院初日(手術前日)
11時頃に入院となります。
麻酔科の医師より麻酔の説明があります。
体調の確認のため、採血があります。
③ 入院二日目(手術当日)
- 子宮鏡を無理なく子宮内に入れるために、当日朝に病棟で子宮の入り口に細い棒状の医療器具(ラミナリアなど)を挿入します。麻酔は使用しませんが、通常は軽い痛みで、痛み止めも必要としない場合がほとんどです。
- 手術室に移動し麻酔をかけた後、更に子宮の入り口を拡張し、子宮内に子宮鏡を挿入します。
- 子宮内腔をテレビモニターで観察しながら、子宮鏡の先端にある電気メスで病変を少しずつ削りとっていきます。病変の大きさにもよりますが、手術はおよそ15〜60分程度で終了します。
- 手術が終了し、麻酔から覚めたら病室に戻ります。水中毒の確認のため、採血があります。
④入院三日目(手術翌日)
朝、執刀医師により退院診察を行い、10時頃退院となります。
術後の子宮内膜の状態を整えるために三ヶ月程度ホルモン剤を使用したり、避妊リングを使用したりする場合があります。
子宮鏡手術の後の生活はどのようになりますか?
体調に問題がなければ、退院後すぐ通常の生活に戻っていただいて差し支えありません。退院翌日から職場に復帰することも可能ですが、2日程度の自宅療養をおすすめします。
2〜3週間後に外来で術後検診を行います。その際、手術で摘出した病変の病理診断結果をお伝えします。
子宮鏡手術後の注意点はありますか?
- 術後数日~2週間程度、少量の不正出血が続くことがありますが、手術によるものなので心配はいりません。
- 腟や子宮からの感染を防ぐため、術後一週間程度はシャワー浴をお願いいたします。
- 術後検診が終わるまでは性行為は避けて下さい。
子宮鏡検査について
「子宮鏡検査」とは何ですか?
子宮鏡検査は、子宮検査用の細い内視鏡を子宮の入り口から挿入して行います。
生理食塩水を流して子宮をふくらませ、子宮鏡に内蔵のカメラで子宮内の様子をテレビモニターにうつし、子宮内腔を観察する外来検査です。
ご希望があればご本人も一緒にモニターをみることができます。
子宮鏡検査で分かることはなんですか?
過多月経、不正出血、不妊症などの原因となる、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮奇形、子宮内の癒着の有無などを確認することができます。
また、過去にいれた避妊リングがまだ子宮内に残っているのか確認したい方にも有用です。
子宮鏡で不妊の原因がわかりますか?
不妊の原因は多岐にわたりますが、その中でも子宮鏡検査は「子宮内腔に子宮筋腫、ポリープ、中隔、癒着などの着床の妨げになるものが無いか」を調べることができます。
一方で別の不妊原因の一つである「卵管が詰まっていないかどうか」については、子宮鏡検査では確認できません。卵管の状態を確認するためには、子宮卵管造影検査が有用です。
その他の不妊原因を調べるには、ホルモン採血やエコーでの排卵確認、クラミジア検査、精液検査などが必要となります。
子宮鏡検査はどのように行われますか?
検査は外来で行い、5〜10分ほどで終了します。
- 麻酔は行いませんが、手術に使用する子宮鏡よりかなり細いものを使用するため、違和感~軽い生理痛程度の痛みですむ方がほとんどです(個人差があります)。
- 細い内視鏡のため、子宮の入り口を開く必要はありませんので、検査前に頚管拡張処置(ラミナリアなど)は行いません。
- 検査をより安全、正確に行うために、検査できる期間を月経終了直後の時期に限らせていただいています(妊娠の可能性が有る場合はできません)。
閉経後の方はいつでも検査は可能です。 - 一般外来の待ち時間を減らすため、子宮鏡外来の時間を別に設けております。
- 初診後に予約を取らせていただいています。
子宮鏡検査の合併症はありますか?
数日~一週間程度、不正出血を認めることがあります。
子宮鏡手術とは異なり、子宮に孔があいてしまう「子宮穿孔(しきゅうせんこう)」や水中毒の合併症は、ほぼありません。
子宮鏡検査の費用はどのくらいですか?
子宮鏡検査のみでは2,200円となります。
ただし、同日に行う他の検査内容によって、総額は大きく異なります。
子宮鏡検査後の生活で注意しなければならないことはありますか?
検査当日は、激しい運動や性行為は控えていただき、シャワー浴をお願いいたします。その他、特に生活に制限はありません。