骨粗鬆症による二次性骨折と骨折予防継続管理について
骨粗鬆症による骨折
骨粗鬆症と脆弱性骨折
日本は2007年に65歳以上の老年人口が総人口の21%を超える超高齢社会となりましたが、その後も高齢者人口の割合は増加し、今後更なる高齢化人口割合の上昇が予測されています。
そして高齢化に伴い、骨粗鬆症の患者も年々増加しつつあり、現在の日本国内の患者数は1,300万人と推測されています。骨粗鬆症が進行すると骨が弱く・もろくなり、大腿骨(だいたいこつ)の付け根(大腿骨近位部)などに少し外力が加わっただけでも折れてしまうことがあります。このような骨折を脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)といいます。
骨粗鬆症を有する大腿骨骨折患者の生命予後は、健常人やその他の骨折患者と比較して悪いことが指摘されており、骨折を予防することの重要性が指摘されています。
二次性骨折とは
一度脆弱性骨折を起こしてしまった場合、再骨折の危険性は非常に高く、初発骨折1年後の再骨折リスクは骨折のない集団に比べて2.7倍高いと言われています(Johansson H et al. Osteoporos Int. 2017;28(3):775-780.)。
これを二次性骨折と呼び、急性期治療を終えた後に適切な治療がなされないと連鎖的に骨折を起こし、寝たきりや要介護などにつながる危険性が高まります。
したがって、初回骨折後に骨粗鬆症の治療介入を開始し、かつ継続することが重要で、「地域による連携」が鍵になります。
骨折リエゾン
サービス
骨折リエゾンサービス(FLS:Fracture Liaison Service)とは
二次性骨折を防ぐためには、さまざまな職種の協働により、脆弱性骨折患者に対する「骨粗鬆症治療開始率」「治療継続率」を上げるとともに、転倒予防を実践することが重要です。
日本では骨粗鬆症による脆弱性骨折防止のための取り組みとして、骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS: Osteoporosis Liaison Service)が展開されています。特に脆弱性骨折患者における二次骨折予防に対しては重点的な対策が必要であることから、2019年に「日本版 二次骨折予防のための骨折リエゾンサービス(FLS)クリニカルスタンダード」が策定され、青葉病院もチーム結成を目指して取り組みを開始しています。
青葉病院の取り組み
青葉病院では下記のステージ1、2、3を骨折リエゾンサービス(FLS)に準じて多職種で取り組み、骨粗鬆症の治療介入に関しては、ほぼ100%達成しています。
(FLS)に準じた取り組み
骨粗鬆症に関する連絡票
ステージ4以降は、急性期病院だけではなく、回復期病院や他の医療従事者、医療機関が連携して、長期的に切れ目のないケアが必要となってきます。
当院では"骨粗鬆症に関する連絡票"を新たに作成し、回復期病院や診療所・介護施設などと骨粗鬆症の評価・治療の概要を共有することで、切れ目のない治療とリハビリ・ケアを行える体制を整えています。
二次性骨折
予防継続管理料
二次性骨折予防継続管理料とは
2022年度診療報酬改定では、大腿骨近位部骨折の患者さんに対して、骨粗鬆症の評価を行い、必要な治療等を継続的に実施した場合の管理料が新設されました。
対象患者
- 大腿骨近位部骨折を発症し、手術治療を担う保険医療機関の一般病棟に入院している患者であって、骨粗鬆症の有無に関する評価及び必要な治療等を実施したもの
- イを算定していた患者であって、リハビリテーション医療等を担う病棟において継続的に骨粗鬆症に関する評価及び治療等を実施したもの
- イを算定していた患者であって、外来において継続的に骨粗鬆症に関する評価及び治療等を実施したもの
二次性骨折予防継続管理料算定のための届出
(地方厚生局長等への届け出の抜粋) ※ 医療機関向け
二次性骨折予防管理料の算定には、まずは届出が必要です。以下に必要な施設基準と算定要件の抜粋を提示します。
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施設基準 項目 |
二次性骨折 予防管理料1 |
二次性骨折 予防管理料2 |
二次性骨折 予防管理料3 |
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点数および 算定回数 |
1,000点 入院中に1回 |
750点 入院中に1回 |
500点 1年を限度に 外来で月1回 |
病床規模 | 病院 | 病院 | 診療所・病院 |
医師 | 骨粗鬆症の診療を担当する 専任常勤医師 |
骨粗鬆症の診療を担当する 専任常勤医師 |
骨粗鬆症の診療を担当する 専任常勤医師 |
看護師 | 専任常勤看護師 | 専任常勤看護師 | 専任常勤看護師 |
薬剤師 | 常勤薬剤師 | 常勤薬剤師 | 常勤薬剤師 ※調剤薬局との 連携でも可 |
その他算定に 必要な要件等 |
院内研修 (年1回) |
院内研修 (年1回) |
院内研修 (年1回) |
大腿骨近位部骨折に対する 手術を実施していること 骨量測定、骨代謝マーカー、 X-P等での骨粗鬆症の評価と 治療介入 |
管理料1算定症例に対し 治療継続すること 骨粗鬆症の評価の確認および 必要に応じ検査・評価等を 追加 |
管理料1算定症例に対し 治療継続すること 骨粗鬆症の評価の確認および 必要に応じ検査・評価して 継続 |
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常勤薬剤師不在の場合や院内研修の対応に関して、懸念などございましたら当院地域連携室までご一報ください。
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青葉病院地域連携室
電話:043-227-1994
二次性骨折予防継続管理料3
算定のための届出用紙
二次性骨折予防管理料3の届出の用紙は以下になります(PDFを掲載しています)。詳しくは特掲診療料の届出一覧(令和4年度診療報酬改定)のページをご覧ください。