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診療科目

ドケルバン病(de Quervain病)

ドケルバン病
(de Quervain病)

「ドケルバン病(de Quervain病)」について、できる限り簡単に、わかりやすく説明します。

病名(名称)について

“ドケルバン(de Quervain)”という病名は、1895年にスイスの外科医のドケルバン(de Quervain)先生が最初に報告したために、この病名がついています。つまり人名です。

どんな病気・症状ですか?

ドケルバン病(de Quervain病)は、手首の腱鞘炎(=腱周囲の炎症)の1つです。特に手首の親指側の腱鞘炎になります。

ドケルバン病の図解
ドケルバン病の図解
(日本手外科学会HP「手外科シリーズ」よりイラストのみ引用)

症状は物をつかんだり、タオルを絞るなどの動作で手首の親指側に痛みが出ます。他の腱鞘炎(ばね指など)を併発することがあります。

どういう人に多いですか?

以下の方に生じやすいと言われています。

  • 妊娠時・産後の女性
  • 更年期以降の女性
  • 手仕事・手作業の多い方

どうやって診断をしますか?

典型的な症状の場合には、レントゲンなどの検査はしないことが多いです。
親指を握って、小指側に曲げたときに、手首の親指側に痛みが出る場合はドケルバン病の可能性が高いです(アイヒホッフ(Eichhoff)テスト)。

アイヒホッフテストの例
アイヒホッフ(Eichhoff)テストの例

治療は必要ですか?

ドケルバン病は手を使う量を減らすことで自然に良くなることもあります。
長い間放置しておくと治りが悪くなることもありますので、痛みが続く場合には、医療機関を受診する方がよいと思います。

どんな治療をしますか?

安静
手を使う量を調整出来る方は安静のみで様子を診ていただくこともあります。

ストレッチ
痛みが少ない場合はストレッチでゆっくり改善することがあります。

注射
多くの場合は症状を早期に改善するために注射を行います。腱鞘の炎症を抑える目的で、痛い部位にステロイド+局所麻酔の注射を行います。
注射は歯医者さんの麻酔注射くらいの痛みがあります(稀に当日から翌日くらいまで痛みが強くなることがあります)。

注射治療の例
(日本手外科学会HP「手外科シリーズ」よりイラストのみ引用)

1回の注射で80~90%くらいの方が、1週前後で症状が半減いたします。全く効かない場合には他の病気を考える必要があります。
注射後、1年以内に再発する確率は50%程度と言われています。再発した場合には再度の注射か手術を行います。

手術
手術を行う主な患者さんは以下の方々です。

  • 注射が3~5回以上になった方
  • 手術希望があった方
手術内容の詳細はこちらをご参照ください。

ドケルバン病の手術について

どんな手術ですか?

実際の手術後の写真
(横方向に切開した場合)

ドケルバン病は、腱鞘(腱が通るトンネル)が腫れて腱が動くときに痛みを生じる病気です。

手術は局所麻酔(局部麻酔)または伝達麻酔(腕1本の麻酔)の上、皮膚を縦または横方向に3cm程度切り(写真赤線部)、皮下脂肪などを避けた上で、腱鞘の上側(トンネルの屋根)を切ります。

これによりトンネルの容積が広がり、炎症と痛みが徐々に改善します。

ドケルバン病の手術イメージ
ドケルバン病の手術イメージ
(日本手外科学会HP「手外科シリーズ」よりイラストのみ引用)

どれくらい時間がかかりますか?

手術時間は30~60分程度で、日帰り手術です。

全身麻酔で行うことはありますか?

手術は局所麻酔(切開部周囲の麻酔)または上肢伝達麻酔(腕1本の麻酔)で行っております。全身麻酔希望の方は、担当医師にご相談ください。

指はいつから使えますか?

当日から指は使えます。ただし過度に使うと腫れが強くなりますので、注意が必要です。また術後1週程度で行う、抜糸までは術部は濡らせません。

術後3~4日で傷の保護が大きめの絆創膏になれば、ゴム手袋をして家事ができます。力仕事やスポーツについては、痛みが強くなければ、術後2週程度から可能です。