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診療科のご案内

大動脈縮窄症(CoA:Coarctation of Aorta)

大動脈縮窄症(CoA)は10,000の出生に対し3~4人の割合で起こります。先天性心疾患全体の3%を占めます。
大動脈弓部の3本目の枝が出た後に大動脈が急に細くなることがあり、これを「大動脈縮窄症」と呼びます。大動脈縮窄(CoA)は、胎児期に大動脈と肺動脈をつないでいた動脈管があった位置の近くで最も多く起こります。

大動脈縮窄症があると、狭い場所より下に(お腹から下半身に)血液が流れにくくなります。また狭い場所より手前で(上半身で)血圧が高くなります。よって上半身と下半身で血圧の差が出ます。

大動脈縮窄症の狭窄の程度が強い(狭すぎる)と、お腹の臓器(腸や腎臓、肝臓)に血液が流れにくくなり、臓器障害(腸管の壊死、無尿、臓器不全)や、2次的な呼吸不全を起こし具合が悪くなります。

治療

生まれてすぐに動脈管が閉じかかり、それとともに狭窄(狭くなること)が進み、下半身への血流が悪くなる・あるいは悪くなることが予想される場合、プロスタグランジンという点滴の薬を使い、動脈管を再び開く治療を行います。全身状態を安定させて修復手術に臨みます。

手術により治療します。外科的に大動脈縮窄症を修復します。狭くなっている動脈の場所を取り除き、上と下の広い動脈の間で直接吻合して、大動脈を正常に近い形にします。

狭窄部位へのアプローチは、2通りあります。
大動脈弓部(弓のように折れ曲がった部分)の径が体重×10mmより大きい場合は側開胸で手術を行います。「拡大端端吻合(extended end-to-end anastomosis)」が行われます。

大動脈弓部の径が体重×10mmより小さい場合、大動脈弓部も拡大手術を行う必要があります。この場合胸骨正中切開でアプローチします。人工心肺を使用し、心停止下で狭窄した部位を切除し、「拡大端側吻合(extended end-to-side anastomosis)」を行う必要があります。

大動脈縮窄症の3割に心室中隔欠損(VSD)が併発します。胸の正中でのアプローチで人工心肺を使用する手術では、大動脈再建に加えて心室中隔欠損閉鎖術を行います。
また大動脈縮窄症の4割で、本来3尖弁である大動脈弁が2尖弁です。

説明の中の図は「PICUハンドブック 小児集中治療の最前線 テコム」から許諾を得て掲載しています。

先天性心疾患の病態

心臓血管外科