フォンタン(Fontan)手術
単心室症に対する段階的手術の第3段階目の手術です。フォンタン手術は1971年にフランス人のフォンタン医師が初めて報告しました。フォンタン手術の現在の主流は「TCPC」と呼ばれる方法です。
下半身からの静脈血はゴアテックス®︎という人工血管を通過して肺動脈に流れます。フォンタン手術により、全ての静脈血が肺動脈に流れ、肺で血液は酸素化され、肺静脈から左心房、左心室、大動脈へと流れます。全身には酸素化した血液が流れるため、フォンタン手術によりチアノーゼは解消されます。
フォンタン手術直後に肺の抵抗が高い(肺動脈の血圧が高い)と、血圧の低い静脈血が肺動脈に流れにくい状態になります。肺に血液が流れにくいと、肺を通過して左心房、左心室に流れる血液量も減少してしまいます。
この状態を防ぐため、導管にフェネストレーション(3~5mmの小さい孔)を作成します。ゴアテックス導管の内側は血圧が高めで、心房は血圧が低いため、静脈血がフェネストレーションを通って心房に静脈血が流れます。
これにより左心房、左心室、さらに大動脈に流れる血液の量を確保することができます。フェネストレーションがある場合、動脈酸素飽和度は、フェネストレーションがない場合に比べ少し低下します。
説明の中の図は「PICUハンドブック 小児集中治療の最前線 テコム」から許諾を得て掲載しています。
先天性心疾患の病態
- 心室中隔欠損症(VSD:Ventricular Septal Defect)
- 心房中隔欠損症(ASD:Atrial Septal Defect)
- 房室中隔欠損(AVSD:Atrio-Ventricular Septal Defect)
- 肺動脈絞扼術(PA banding術)
- ファロー四徴症(Tetralogy of Fallot)
- 心室中隔欠損のない肺動脈閉鎖(PA / IVS:Pulmonary Atresia / Intact Ventricular Sep-tum)
- BCPS(Glenn(グレン))手術
- フォンタン(Fontan)手術
- 総肺静脈還流異常症(TAPVD:Total Anomalous Pulmonary Venous Drainage)
- 大血管転位症(TGA:Transposition of Great Arteries)
- 総動脈幹症(Truncus Arteriosus)
- 大動脈縮窄症(CoA:Coarctation of Aorta)
- 大動脈離断(IAA:Interrupted Aortic Arch)