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新型コロナウィルスQ&A

新型コロナウィルスQ&A

7月9日に当院の呼吸器内科統括部長 兼 感染対策室主査 瀧口恭男医師が、千葉市民向けにオンラインセミナー「新型コロナウイルスの今~安全なワクチン接種と千葉市医療機関の取り組み~」を行いました。
本公演の要旨をまとめましたので、ぜひご参考になさってください。

なおセミナー動画は本ページにて視聴可能です。こちらも併せてご覧ください。

発症後7〜10日が分岐点?
新型コロナの経過や自宅療養の注意点

新型コロナの症状と分岐点は?

青葉病院呼吸器内科統括部長 兼 感染対策室主査 瀧口恭男
青葉病院呼吸器内科統括部長 兼
感染対策室主査 瀧口恭男

まずCOVID-19で起こる症状と、「分岐点」とされるタイミングをお伝えしましょう。

主な症状としては呼吸器症状(せきや呼吸困難など)、発熱、悪寒、筋肉痛が起こり、さらに場合によって、吐き気・下痢、味覚・嗅覚障害などが現れることがあります。

典型的な経過としては、8割の方は発症してから7日間ほどは軽症のまま過ごし、そのまま治癒していきます。しかし残りの2割の方は7〜10日間ほどで次第に呼吸器症状・肺炎症状が悪化し、入院治療・管理が必要となる場合があります。
つまり発症後7〜10日目あたりが、回復するか悪化するかの「分岐点」ということです。 ぜひこの点を頭の片隅に置いておいてください。

COVID-19 新型コロナウイルス感染後の典型的な経過

重症度はどのように分類されますか?

COVID-19の重症度は【 軽症/中等症1/中等症2/重症 】に分類されます。
重症度を測るときに重要な指標の一つが「酸素飽和度(SpO2:エスピーオーツー)」です。

パルスオキシメーターのイラスト
パルスオキシメーターの装着イメージ

酸素飽和度とは、心臓から全身に運ばれる血液内のヘモグロビンにどれくらい酸素が結合しているかを、皮膚を通して調べた数値です。
パルスオキシメーターという小さな機械を指にはめることで、酸素飽和度を即座に測定できます。

酸素飽和度は一般的には96〜99%が標準値とされます。 一定以上低くなると十分な酸素を全身に送れない状態(呼吸不全)になっている可能性があります。
重症度分類においては酸素飽和度が96%以上で軽症、93%よりも高く96%未満(呼吸不全なし)の場合は中等症1、93%以下(呼吸不全あり)であれば中等症2と判断します。

COVID-19の重症度分類

留意したいのは、パルスオキシメーターの数字には数%の誤差が生じる可能性があるという点です。
例えば指先が冷たく血液循環が悪い状態や、マニキュアなど爪の装飾をしているとき、爪の病気がある場合などは誤差が生じやすいです。そのため、COVID-19の重症度分類では誤差を考慮した数値が設定されています。

千葉市では、COVID-19で自宅療養している40歳以上の方、保健所長が必要と判断した方はにはパルスオキシメーターを貸し出し、健康管理に役立てていただいています。

新型コロナにかかったかもしれないときには

新型コロナを疑う症状が見られたら?

ここでは千葉市の例を元に、発熱などCOVID-19を疑う症状が現れたときにどう対応したらよいのかをお伝えします。

かかりつけの医療機関がある場合には、必ず「受診前に」電話をしてください。そちらで症状などをお伝えいただき、医療機関からの指示に従って対応いただくようにお願いします。
一方、かかりつけの医療機関がない・どの医療機関を受診すればよいかわからない場合には、「新型コロナウイルス感染症相談センター」にご相談ください。

千葉市新型コロナウイルス感染症相談センター
電話番号:043-238-9966
対応時間:9:00~19:00(土日祝は17:00まで)

医療機関での対応と流れはどのようになっていますか?

お電話でご相談いただき、COVID-19の可能性がある場合には医療機関でPCR検査を受けていただきます。千葉市立青葉病院では、感染症の可能性がある方に対して以下のフローチャートに沿って対応しています。

まずは専用区域で診察を行い、必要に応じてPCR検査を実施。無症状や軽症であり入院が不要と判断した場合には、自宅療養をしていただきます。
一方、入院が必要な場合には感染症疑いの病床へご案内します。PCR検査の結果が陽性であれば感染症病棟で本格的な治療に入り、陰性であれば一般病床に入院していただくという流れです。

なお、PCR検査の結果が陰性であっても、感染症の疑いが濃厚である場合には感染症疑いの病床で治療を継続することがあります。

PCR陰性検査「陰性=感染していない」ではない?

PCR検査の解釈には注意が必要で、「陰性=感染していない」と断定できるわけではありません。仮に結果が陰性であっても、出ている症状によっては引き続き感染症の疑いを持って対応する場合もあります。

実際にこれまでの調査で、初回PCR検査では陰性だったのにその後数回PCR検査を行って初めて陽性が出たケースが複数確認されました。このようにPCR検査が陰性でも感染している可能性があること、あくまでも現場での総合的な判断に基づき対応していることを知っていただきたいです。

ちなみに、感染の流行期すなわち検査前確率(検査前に考えられる陽性率)が高いときには、PCR検査の結果が陽性であればCOVID-19とほぼ断定できますが、陰性の場合は「COVID-19疑い」となるケースがあります。

自宅・ホテル療養で注意することは?

PCR検査でCOVID-19と診断された場合には、その方の健康状態や社会的な背景を考慮し、医療機関に入院するか、自宅療養もしくはホテルでの療養という選択肢を考えます。状態が悪化した際にすぐに対応できるよう、自宅やホテルで療養される場合にも健康観察を怠らないことが重要です。

千葉市保健所が設定している健康観察の主な項目は

  • 体温
  • 酸素飽和度(原則40歳以上)
  • 自覚症状(せき・呼吸困難など)
  • 全身状態(水分摂取が可能かなど)
です。

酸素飽和度が93%以下(重症度分類の「中等症2」)、呼吸困難などの症状が悪化、水分摂取が困難になってきた場合には、入院による治療が必要になる可能性が高いです。

先ほどご説明したように発症7〜10日間くらいが分岐点で、その時点で症状が悪化していなければほとんどの場合は問題ないでしょう。ただし自宅・ホテル療養のあいだに、熱が下がらない・呼吸器症状がよくならない・水分摂取もつらいなどの状態になった場合は、迷うことなく保健所に連絡しましょう。

千葉市で自宅療養される場合に指針となる「在宅療養のしおり」があります。療養の流れや留意点などの詳細はこちらをご覧ください。

その他の地域にお住いの方も、各自治体のホームページでご確認いただけると思います。

COVID-19に関するQ&A

患者さんからのご質問に、瀧口先生に回答いただきました。

病院によって新型コロナの治療に違いはある?

Q.病院によりCOVID-19の治療に違いはありますか。例えば、感染症専門の病棟を持っている病院とそうでない病院で治療は変わるでしょうか。

A.多くの病気と同様に、COVID-19に対しても「診療ガイドライン」という共通の手引きがあります。そのため、感染症専門の病棟を持っているか否かにかかわらず、どの病院であっても治療内容は大きく変わりません。

千葉県では2週間に1回の頻度で「新型コロナ重点医療機関」の会議を開き、COVID-19の標準治療に関して最新の情報をシェアしています。また、病状が急激に悪化した患者さんの受け入れに関しては地域内のネットワークが構築されており、連携して迅速な対応ができるような体制を整えています。

変異ウイルス(デルタ株)に対する注意点は?

Q.デルタ株によるクラスターが保育施設で発生したというニュースを見ました。うちには3歳の子供がいて心配です。家庭で何か気をつけるべきことはありますか。

A.変異ウイルスであることを過度に心配する必要はありません。変異ウイルスであるか否かに関係なく、これまでと同じように感染対策などを行うのが良いと思います。