プログラムの概要
プログラムの目的
地域医療の立場に根ざし、患者さんの立場に立った全人的な医療が実践できる、幅広い知識と資質を有する医師を涵養し、地域における医療レベルの向上を目指す。
プログラムの特徴
初期研修について
当院では平成16年に新医師臨床研修制度がスタートしたときから、初期研修医を採用しています。当初は千葉大学との協力型で2名の募集でしたが、年々採用数を増やし、平成30年からは基幹型8名、協力型2名の研修医を採用しています。1年目には内科6ヶ月で臨床の基礎を勉強します。当院には循環器、呼吸器、血液、神経、消化器、代謝内分泌糖尿病、総合診療、アレルギー膠原病の各専門医がおり、それぞれの疾患について指導を行います。6ヶ月間を連続して内科疾患にかかわるため、長期にわたる治療の血液疾患等もずっと受け持ちで関わっていけます。
1.家庭的な雰囲気
当院の研修医の誰もが、見学に来たときの先輩たちの生き生きと働く姿を見て応募を決めたといいます。病棟では各種オーダーを自分で考えて出す権限を与えられ、上部消化管検査や腹部エコーなどは毎週決まった曜日に研修が行われます。毎日自分で主体的に上級医にコンサルトし、病棟全体でも研修医がいるのが当たり前であり、みなで育てていこうという雰囲気があります。病院独自の臨床指導医養成講習会を開催したほか、NPO千葉医師研修支援ネットワーク主催の講習会に参加するなど指導医の層も豊富です。疲れた体を休める研修医室には、1年上の先生がいてなごやかな空気のなか有意義なディスカッションが行われます。
医局には3〜4年目の後期研修医の先生が8〜9名おり、検査や手技について一緒に教えてくれます。
このように2年目初期研修医、後期研修医、指導医と指導体制は屋根瓦方式となっており、聞きたいときに応じて必要な知識が得られます。病院の中では初期研修医は「お客さま」ではなく、職員の1人として認知され、重要なスタッフとして病院の仕事に関わっています。
2.救急研修
当院は年間4000件近い救急車を収容しており、千葉市でもその数は3本の指に入ります。当院で受ける救急車はほとんどが2次救急レベルであり、そのまま入院が必要となる患者さんが多くいます。ただのかぜや発熱といった1次救急レベルの患者さんは千葉市夜間救急診療所に紹介することが多く、病院の勤務医として診るべき疾患を無駄なく勉強できます。
当直は後期研修医とペアで行い、初期研修医のレベルにより最初から一緒に診察診断する場合もあれば初期研修医が最初に診察、検査を行い、結果をみて後期研修医とディスカッションをする場合もあります。バイタルサインに問題があるような重症患者は、救急医が待機しており、すぐに挿管や呼吸循環管理を行いICUに収容します。ほとんどの研修医は2年目の半ば頃には2次救急患者の初期医療に対応できるような実力がつきます。
3.病院でのカンファレンスや学会発表
4月に仕事を始めた頃から7月頃まで毎週2回の研修医向けカンファレンスが18〜19時に行われます。7月以後は毎週1回で持続され2〜3月まで続きます。
また毎月第一月曜日には、千葉大学総合診療部との合同カンファレンスが開かれます。当院と総合診療部で症例を持ち寄り、病歴や身体所見からいかに診断にせまれるかを検討します。NHKテレビに主演したドクターGとして有名な生坂教授の歯切れのよい講義はとても魅力的です。
毎年6月には小田原のテルモのメディプラネティックスという研修施設に行き、モデルを使用して中心静脈穿刺の実習を行います。その後、箱根の温泉につかって疲れを癒すのも恒例となっています。
そのほかにも新規薬剤についての勉強会が2〜3ヶ月に1度ずつ夕方開かれます。
当院では各種学会発表を研修医に積極的にしてもらうことにしており、内科学会地方会、その他の専門学会等で発表してもらっています。その際の旅費、宿泊費は病院が負担してくれます。
4.受け持ち患者
受け持ち患者数は、4人から10人程度であり、患者さんの重症度により異なります。すべての研修医の受け持ち患者の内容と数は内科部長が把握しているので、重症患者がいるときには全体の受け持ち数を少なくする等の配慮が行われます。疾患の内容に関しても、経験した疾患の数をエクセルに記録して電子カルテ上で共有しているので、common diseaseに関してはほぼすべての疾患を経験することができます。6ヶ月間の内科研修において平均約80症例程度の受け持ち患者を経験することになります。